ほんだらけウォーク

本好きの、本好きのための、ほんだらけスポットをご紹介します。

神保町ブックセンター

 本の街神保町を訪れる本好きな方には、ここはかなりのワクワクスポットと言えるでしょう。
 神保町交差点の岩波ホールの隣に「神保町ブックセンター」という素朴な明朝系ロゴとイラスト入りの看板が見えます。今回はこのブックカフェの店長である永礼欣也さんにお話を伺いました。



店内の書棚には岩波書店の本がずらりと並んでいますね。ここは岩波書店さんが経営しているカフェなのですか?
岩波書店さんはこの物件のオーナーさんで、じつは経営には関わっていないんですよ。私たちは岩波書店とは別の「UDS(アーバンデザインシステム)」という会社で、各地域に根ざしたサービスを提供しているんです。この場所はもともと2年間ほど空き店舗だったのですが、〈本の街〉神保町で何かおもしろいことができないかなと考えまして、1年3ヶ月ぐらい前にこの「神保町ブックセンター」をオープンしました。

 
外から見たときに、すごく入りやすい感じがしました。横の通りから覗ける丸窓もすごく特徴的でおしゃれですね。
そうなんです。本を売っているお店かな?と思ってふらりと入ったら食事も出来るんだ、打ち合わせをしている人も見える。奥のソファは深めなので、おひとりの方はゆっくりと座れますね。たまに気づくと寝ている人も(笑)。企画、内装設計、運営までしているんですが、この街のお客さんに気に入ってもらえるようにと考えています。意外と海外、特にヨーロッパ系からのお客さんも多いんですよ。

 
席に着いたらまず、この「メニュー」にときめきました! 岩波文庫の表紙のデザインをアレンジしていて、メニューの項目が目次っぽいんですね。本好きにはたまらないデザインです。
メニューのデザインは外部のデザイナーに頼んでいますが、コンセプトをデザイナーに伝えて作ってもらいました。店内にもいろいろな遊び心が隠されていますよ。お客さんは誰も気づいていないかもしれませんが、このメニューの裏を見るとヒントがありますよ。ぜひ探してみてください。

 
コーヒーのメニューが2種類ありますね。「四六判ブレンドコーヒー」と「文庫判ブレンドコーヒー」。このネーミングも気になりますが、この2種類は何が違うのですか?
「四六判コーヒー」のほうは、しっかりボディ。対して「文庫判コーヒー」は軽めの味わいです。四六判と文庫判ですので…(笑)。また、豆の比率が四六判のほうは〈4:6〉なんです。

 
なるほど、マニアックでいいですね。他にも「文庫ソーダ」は、すごくビビッドな5色で驚きましたが、これも何かこだわりがあるんですか?
この5色は岩波文庫の帯の色なんですよ。あちらの文庫の棚を見るとよくわかると思いますが、赤(ザクロ)・黄(レモン)・緑(メロン)・青(ブルーハワイ)・白(カルピス)です。カフェのメニューは、純喫茶風にしようかという考えもあったのですが、この近辺には「さぼうる」さんなどの純喫茶も結構ありますので、当店では懐かしめのメニューを今風にアレンジするようにしました。

 
「さばライス」がとても美味しかったです。でも、カフェのメニューとしては珍しいですね。
これは他の店舗で人気があったので、こちらでもメニューにしました。ここはオフィス街なので、ランチメニューはしっかりめにしています。メニューはだいたい年に2回ぐらいで変えるものは変えて、四半期に一度ぐらい、ちょこっと変えています。上に乗っているベリーを変えるとか…わかる人にしかわからないでしょうね(笑)。

 
ところで、書棚の本は店内で読んでもいいんですか?
これは悩んだんですが…自由に読んでもらうと汚してしまうかも?という心配はありますよね。でも、それでやってみてダメだったら考えようということで、とりあえず自由に読んでいただくことにしたんです。そうしたら、神保町のお客さんは本が好きなので、きれいに読んでくれるんですよね。だから、読んでいただいて結構ですよ。

 
すごく古い本も置いてありますね! これも手に取って中を見てもいいんですか?
大丈夫ですよ。この本は岩波書店さんのほうで処分するというのでいただいてきたんです。見返しなどもすごく凝っていますね。

 
この奥のスペースで仕事をしていらっしゃる方が見えたのですが、あのスペースもこちらの一部ですか?
そうです。コワーキングスペースとして、場所も提供しています。1階の奥が「ラウンジ」、2階に「会議室」と3階に「デスク」、「オフィス」という3種類があります。「ラウンジ」は一日利用。自宅よりもこういうところの方が集中できるってこともありますよね。「デスク」は契約者専用で24時間使えて荷物もロッカーに置ける。フリーランスの方は自分のオフィスとして登記登録もできるんですよ。「オフィス」は全部で5部屋あって、20名の会議スペースなど。場所柄、平日は出版社の方が打ち合わせや撮影などに、土日はワークショップや英会話教室などにも利用されていますよ。この辺りでは結構需要があるみたいですね。

 
いいスペースですね。当協会でもここをお借りして、運営会議やイベントなどやってみたくなりました!
イベントも月4~5回1~2回やっていますよ。1階奥の「ラウンジ」には50人ほど入れますので、例えば本が出版されたら著者を招いてトークイベントなどもやっています。先日、人気の著者イベントではチケットが2分で売り切れちゃったので。だから次は告知をするときに、何日の何時からチケット予約開始ですってお伝えするようにしないと…。

 


さすが、神保町のお客さんの心をしっかりとつかんでいらっしゃいますね。この場所に自然にお客さんが集まるようにするために、お客さんが気づかないような細かいところから、魅力的なイベントまで、様々な仕掛けをされていることがよくわかりました! また、勉強のためにも頻繁に覗きに来たいと思います。私たちの質問にも丁寧に答えてくださってありがとうございました。

Writer:ツダトキ

永礼欣也さん

UDS株式会社 神保町ブックセンター店長


神保町ブックセンター

〒101-0051

東京都千代田区神田神保町2丁目3−1

岩波書店アネックス1F・2F・3F
TEL:03-6268-9064

MAIL:info@jimbocho-book.jp
都営三田線、都営新宿線、東京メトロ半蔵門線A6出口より徒歩1分

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